注文住宅の建築工法とは
「工法」とは、家の骨組みを作る方法のことで、工法によって素材や構造が変わってきます。主な工法には「木造軸組工法」「2×4工法」「鉄骨造」「鉄筋コンクリート造」「プレハブ工法」などがあります。
工法(1)木造軸組工法(在来工法)
木造軸組工法(在来工法)の特徴は?
日本の一戸建て住宅の伝統的、かつ一般的な工法で、実際に8割近い家に採用されている工法で、「在来工法」とも言います。
木材を使用することで、日本の風土に適応しやすく、柱や梁といった軸材を渡して骨組みを組み、筋交いを斜めに入れることで、地震にも耐えられる構造となっています。最近では連結部分に金具を使用することで、より強度を高めていることもあります。
木造軸組工法(在来工法)のメリットは?
一番の魅力は、間取りや設計の自由度が高いことです。狭小地や変形地に対応しやすく、構造上重要な柱などを残しておけば、リフォームや増築にも対応しやすいのも、長く住み続けることを考えるとうれしい点です。
また、他の工法よりもコストが抑えられます。伝統的な工法なので対応できる工務店・住宅会社も多く、会社選びの幅も広がりそうです。
木造軸組工法(在来工法)のデメリットは?
対応できる会社が多いとはいえ、現場で職人が組み立てていくので、仕上がりは職人の技術に左右されることもあります。また工期も少し長くなる傾向にあります。
木材をふんだんに使用するのが魅力ですが、湿度が高い日本ならではの気候では、結露が起きやすい環境だと腐食やカビの発生の不安もあります。また、白アリが発生することもあるので、定期的な点検、対策が必要となります。
「木造軸組工法(在来工法)」の施工例
◆イエタテ◆木造軸組工法(在来工法)の施工例①1000万円台で夢の平屋を実現! 自由設計でつくる木の家
◆イエタテ◆木造軸組工法(在来工法)の施工例②奥さまの夢を叶えた雑貨屋さんのようなかわいいお家
工法(2)2×4工法(ツーバイフォー工法)
2×4工法の特徴は?
「ツーバイフォー」とは、2インチ×4インチの製材で柱を組むことからそう呼ばれています。4面の壁と床、天井の6面で建物を支える箱形の構造で、「木造枠組壁工法」とも呼ばれる、北米で主流の工法です。
輸入された工法とはいえデザインへの適応力もあり、和風住宅にも広く採用されています。
柱を2インチ×6インチ、2インチ×8インチにしてより厚い壁にする、「2×6(ツーバイシックス)」「2×8(ツーバイエイト)」なども見られます。
2×4工法のメリットは?
寸法や釘などが規格化されており、工場でベースを生産しています。そのため、現場で組み立てる際に職人さんの力量に頼らず、安定した品質の家が建てられ、工期も短めとなります。
また、がっちりとした箱型の構造により耐震性能に優れており、その耐力は木造軸組工法の1.5~2倍とも言われます。断熱性・気密性も高く、耐火性能にも優れています。
2×4工法のデメリットは?
面で支える構造のため、基本的に長方形をベースとします。そのため角に開口部を広く取ることができないなど、間取りの自由度は低くなりがちです。リフォームや増築の際も壁を抜くことなどはできず、制約が多くなります。
また、一般的になりつつあるとはいえ、施工できる住宅会社や工務店は限られてしまいます。
高気密・高断熱であるがために、結露が生じやすいこともあるので、カビやダニへの対策も必要です。
「2×4工法」の施工例
◆イエタテ◆2×4工法の施工例①こだわり抜いたデザイン・空間構成で魅せる家
◆イエタテ◆2×4工法の施工例②明るく元気が出るマイホームをカラーコーディネートで実現
工法(3)鉄骨造
鉄骨造の特徴は?
鉄骨系の部材で建物を支える構造で、使用する鉄骨の厚さが6mm未満の場合を軽量鉄骨造、6mm以上の場合を重量鉄骨造といいます。
軽量鉄骨造は柱や梁、筋交いなどの構造体に軽量鉄骨を用いており、鉄骨軸組工法ともいいます。大手ハウスメーカーでも多く採用され、一般住宅やアパートなどでよくみられます。
重量鉄骨造はマンションや3階建て住宅などに多く採用されます。柱や梁が太くなるため、鉄骨の本数を少なくすることが可能で、柱と梁を一体化させて変形しないよう接合することで強度を高める「ラーメン構造」が中心です。
鉄骨造のメリットは?
水分や種類によって差の出る木材に比べ、鉄骨は品質が一定です。また、特に鉄骨ユニット工法なら工場である程度仕上げたものを現場で組み立てるだけなので、仕上がりも安定し工期も短く済みます。白アリの心配もないので、耐久性についても安心です。
木材よりも強度が高いので、開口部も作りやすく、大きな窓や空間づくりが可能になります。
鉄骨造のデメリットは?
鉄ならではの特性には特別な注意が必要です。
熱を伝えやすいので断熱性は低くなり、冬は結露になりやすいと言われます。またサビやすいため、防サビ処理が必要です。このように断熱や防サビ対策、さらには、加工に手間がかかることから、コストは高くなる傾向にあります。
加工のしにくさでいうと、間取りの自由度も制限を受けることが考えられます。
「鉄骨造」の施工例
◆イエタテ◆鉄骨造の施工例①大空間リビングで日々の生活に癒しを感じられる家
◆イエタテ◆鉄骨造の施工例②鉄骨の安心と木の温もりに溢れた重量鉄骨の家
工法(4)鉄筋コンクリート造
鉄筋コンクリート造の特徴は?
柱や梁などの主要な構造部の骨組みを鉄筋で組み、周囲を型枠で囲んでコンクリートを流し込んで作る工法で、RC造(RC=補強されたコンクリート)とも言います。
柱と梁で建物を支える「ラーメン構造」と、床・天井・4面の壁の計6枚の耐力壁で建物を支える「壁式構造」とがあり、壁式構造は低層階の建物に向いています。
主にマンションやビルなどで使われる工法ですが、型枠ができれば様々な設計に利用できるので、建築家による独自性ある設計の家や高級住宅で多く採用されています。
鉄筋コンクリート造のメリットは?
何と言っても耐震性の高さが魅力です。面で支える構造なので、地震による負荷を分散してくれます。
またコンクリートは外気や湿気などから鉄筋がさびるのを防いでくれるので、耐久性も木造に比べると高くなっています。熱に強いコンクリートにより耐火性も高いので、火災保険料も抑えられるというメリットもあります。
そのほか、高気密・高断熱で光熱費の節約ができたり、遮音性が高いのもコンクリートならではです。
鉄筋コンクリート造のデメリットは?
高性能な魅力の多い鉄筋コンクリート造ですが、その分建築コストは高くなります。また、気密性が高いことで結露やカビなどが発生する恐れもあり、換気システムなどの対策も必要です。
木造に比べて丈夫で重さがある分、地盤に改良が必要な場合もあります。また、現場での作業がメインとなる工法なので、住宅会社によって仕上がりにばらつきが出たり、天候に左右されて工期が延びることもあらかじめ理解しておく必要があります。
「鉄筋コンクリート造」の施工例
◆イエタテ◆鉄筋コンクリート造の施工例①海外の邸宅のように上質なRC造+外断熱+全館空調の家
◆イエタテ◆鉄筋コンクリート造の施工例②プライバシーと眺望を両立 丘の上に建つWhite Box
工法(5)プレハブ工法
プレハブ工法の特徴は?
工場であらかじめ作られた床や壁などの部材を、現場で組み合わせる工法です。主に以下の4つのタイプに分けられます。
木質系:木材によるパネルを床や壁などの主要構造部に使用。
鉄骨系:鉄骨による柱や壁パネルを主要構造部材に使用。軽量鉄骨造もプレハブ工法のひとつ。
ユニット系:鉄骨のフレームで組み立てられたボックス型の箱を現場で組み上げていく。壁や建具、ユニットバスなどの設備まで取り付けることも可能。
コンクリ系:壁や床、屋根に鉄筋コンクリートパネルを使用。
プレハブ工法のメリットは?
床や壁などに使用するパネルなどは、生産される工場で品質まできちんと管理されているので、品質が安定しています。
例えばコンクリ系は現場でのコンクリートの流し込みなどもないため、天候や職人の力量に左右されにくく、高い耐震性や耐火性などは保たれます。
防サビ、防腐、白アリ対策などまで工場で完了した状態なので現場での作業量が少なく、工期の短縮や人件費の削減にもつながります。
プレハブ工法のデメリットは?
特にユニット系の場合、すでにある程度形ができあがっているので、ユニット(箱)が運び込める道幅や、クレーン車が作業できる環境であることが必要です。規格も均一化しているので、設計の自由度は低くなります。
同様にコンクリ系も、複雑な形には対応できない場合もあり、変形地や狭小地での柔軟な設計には向いていません。
ある程度の品質が保証されているので、極端なコストカットも難しいでしょう。
「プレハブ工法」の施工例
◆イエタテ◆プレハブ工法の施工例①プレミアムな暮らしを愉しむ大空間・大開口のある家
◆イエタテ◆プレハブ工法の施工例②今、求められている間取りのヒントをつめこんだ住まい
建てたい家に合わせて工法を選ぼう
さまざまな工法があることは分かったけれど、家づくりの条件は人ぞれぞれ。どんな家にしたいのか、予算はいくらにするのか、希望の時期までに入居できるのか、など自身の理想の家に最適な工法を検討してみましょう。
できるだけ予算を押さえたい
木造住宅は材料費が抑えやすいため、木造軸組工法や2×4工法がおすすめです。多くの工務店やローコストハウスメーカーで採用されているので、複数社に相談して、比較検討しても良いでしょう。
自由に間取りを考えたい
加工がしやすい木材は様々な形に対応がしやすいメリットがあります。間取りにこだわりたい、変形地を最大限に生かしたい、などの希望が叶いやすいのは木造軸組工法。リフォームへの対応もしやすいです。
高気密・高断熱の家にしたい
2×4工法の家は、壁が建物を支える形で箱形になっているので、気密性・断熱性が高まります。さらに厚い壁が可能となる2×6工法、2×8工法なら、より断熱性能を高めることができます。
大開放の広い部屋が作りたい
重量鉄骨造なら、柱と梁がきっちり溶接されており、頑丈でも壁に頼る構造ではないため、大開口が可能です。広いリビングや大きな窓を設置したいならおすすめです。
今、注目の工法を知っておこう
上記で紹介した主な工法以外にも、ハウスメーカーや建材メーカーなどの最新技術を生かした、新しい工法も登場しています。いろいろな情報を集めて比較検討するのが、後悔しない家づくりの第一歩です。
SE構法(SE工法)とは
強度の高い構造用集成材を柱と梁に使用し、その柱と梁を専用の「SE金物」で剛接合したラーメン構造のこと。高い耐震性を実現しながらも、壁や筋交いのなどの制限を受けない、広い空間や自由な間取りが可能です。
◆イエタテ◆SE構法(SE工法)の施工例①広い空間で安心・快適に過ごせるSE構法&断熱ZEHの家
◆イエタテ◆SE構法(SE工法)の施工例②時とともにヴィンテージとなる3階建てSE構法の家
テクノストラクチャー工法とは
木と鉄でできた「テクノビーム」と呼ばれる強い梁を使った、パナソニック独自の工法。1棟ずつ構造計算をし、耐震等級3に対応する耐震性の高さも魅力です。耐久性、断熱性、省エネ性などを兼ね備えながら大胆な空間設計ができます。
◆イエタテ◆テクノストラクチャー工法の施工例①お気に入りの空間をきれいにキープする工夫も
◆イエタテ◆テクノストラクチャー工法の施工例②高耐震と開放感を両立したテクノストラクチャーの家
スーパーウォール工法とは
木造軸組工法をベースにLIXILの「スーパーウォールパネル」を使用し、高断熱サッシ・ドア、計画換気システムからなる、高気密・高断熱・高耐震構造のこと。遮音性も高く快適な住空間が期待できます。
◆イエタテ◆スーパーウォール工法の施工例①ペットと一緒にのびのび暮らすZEH×SW工法の家
◆イエタテ◆スーパーウォール工法の施工例②C値0.13、UA値0.32が物語る 心地よさに満ちた平屋スタイル
まとめ
●設計の柔軟性、コストの削減、高気密・高断熱や耐震性などの性能など、何を重視するかによって適した工法が異なるので、各工法の特徴を知ることが大切。
●住宅会社ごとに得意とする工法があるので、気になる工法がある場合は、詳しいことを相談してみて。
採用している工法をチェックできる!住宅会社の詳しい情報を見てみよう
イエタテでは、各住宅会社がどんな工法を手掛けているかもチェックすることができます。新築施工例も充実しているので、参考にしてみましょう。