モデルハウスと完成見学会の違い
住宅の見学イベント情報で目にする機会が多いのは「モデルハウス見学」や「完成見学会」。住宅見学会には、そのほかにもいくつかの種類があります。
住宅見学会によって、見られる家の種類や内容が違う
住宅見学会には、大きく分けて5つの種類があります。
(1)モデルハウス
(2)完成見学会
(3)入居者見学会(OB宅見学会)
(4)オープンハウス
(5)構造見学会
実際に建てられた家を見られる点は同じですが、見学対象となる家の状況や見学できる時期は、住宅見学会の種類によって異なります。
そのため、住宅見学会に参加することで得られる情報、見たり聞いたりできることも異なるのです。
それぞれの住宅見学会の詳細は、このあとの章で解説します。
参加する住宅見学会は「何を知りたいか」によって決めよう
どの住宅見学会に参加するかは、家づくりにおいてどんなことを知りたいか、実際の家で何を見たいかによって判断しましょう。
住宅見学会は、種類によって得られる情報が異なるので、さまざまな種類の住宅見学会に参加することで、家づくりの理解が深まります。
また、複数の会社の住宅見学会に参加するのがおすすめ。比較対象ができることで、会社ごとの違いや自分たちの希望が見え、建てたい家のイメージがよりはっきりしてきます。
住宅見学会の種類とメリット・注意点
大きく分けて5種類ある住宅見学会。それぞれ見学対象となるのはどんな家で、何が見られ、どんな情報が得られるのか、詳しく見ていきましょう。
(1)モデルハウス
モデルハウスは、住宅会社各社が得意とするデザイン・設備で設計されていることが多く、その会社の特徴や強みをつかむのに最適です。写真だけではわからない素材感や空気感、間取り、性能などを体感できます。
住宅会社の専用地や住宅展示場に建てられるため、時期を問わずいつでも見学できます。
最新設備やオプションアイテムを採用し、高いグレードで造られるのが一般的。モデルハウスと同じ仕様で建てようとすると予算オーバーになりがちなので、注意が必要です。
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(2)完成見学会
完成見学会は、施主さんが建てた新築住宅を、完成直後(引き渡し前)に見学できるイベント。モデルハウスに比べて家の規模や仕様が等身大なので、自分たちが建てる家の参考にしやすいのが特徴です。
引き渡し前に開催されるため、家具は搬入されていないことがほとんど。家具を配置するとどんな様子になるのかは、ある程度自分たちで想像をふくらませる必要があります。
また、住宅会社が施主に打診し、施主が了承した場合のみ開催されるので、時期も場所も限定的。気になっている住宅会社がある場合は、イベント情報をこまめにチェックして、見学の機会を逃さないようにしましょう。
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(3)入居者見学会(OB宅見学会)
入居者見学会(OB宅見学会)は、建築して引き渡され、施主さんが実際に住みはじめた家を見学できる貴重なイベントです。
引き渡し前には実感しづらい住み心地や、住んで初めて気づいた点など、暮らす人のリアルな声を聞くことができます。また、家具やインテリアなど、建物以外のコーディネートも参考になります。
入居者見学会(OB宅見学会)は、完成見学会と同じく、開催期間や場所が限られます。気になっている住宅会社で入居者見学会が開催されない場合もあります。
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(4)オープンハウス
オープンハウスは、これから販売、または販売中の新築建売住宅や中古住宅そのものを、一定期間見学できるイベント。完成見学会よりも長期間開催されることが多く、自分たちの予定に合わせて足を運ぶことができます。
間取りや設備はもちろん、日当たりや周辺環境を体感できるので、住むことをリアルにイメージしやすい点もメリットです。
購入後に間取りや内装を多少変更できる場合もありますが、新築注文住宅のように自由に変えることはできません。また、家具や家電が収まるかどうかも、見学の際に確認しましょう。
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(5)構造見学会
構造見学会は、建築途中の住宅を見学する貴重な機会で、柱や土台、断熱材など、家が完成したあとは見えなくなってしまう構造部分を見ることができます。
どのような仕組みで耐熱性や断熱性などの性能を担保しているのか、この設計・施工方法を用いるメリットなどを住宅会社の担当者が説明してくれるので、その会社の家づくりへの姿勢をうかがい知ることができます。
開催時間内であれば自由に見学できるモデルハウスと異なり、担当者に話を聞きながら見て回る構造見学会は、事前予約制。構造見学会を行っていない住宅会社も少なくありません。
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住宅見学会に行く前に準備すること
時間を割いて住宅見学会に参加するのだから、見聞きしたことは自分たちの家づくりにしっかり活かしたいもの。そのためには、事前に準備を整えることが大切です。
気になる住宅会社の見学会情報を調べる
まずは住宅雑誌やWebメディア、SNSなどで新築施工例を見て、気になる住宅会社をピックアップ。その住宅会社が開催する住宅見学会をチェックします。
住宅見学会は、家づくりのイメージをふくらませたり、知識を深めるのに役立ちますが、手当たり次第に参加していては時間がかかり疲れてしまいます。
住みたい家のイメージや要望、予算に合う住宅会社を数社に絞り込んで、その会社の住宅見学会に行くのが効率的です。
住宅見学会の情報は、WEB「イエタテ」の住宅イベントページのほか、住宅会社のホームページで公開されていることもあります。
予約をする
予約不要とされている住宅見学会でも、参加するときは事前予約をするのがおすすめです。
予約をしておくと、住宅会社があらかじめ準備をしておけるので、当日、ていねいに説明してもらえたり、資料を用意してもらえたりと、スムーズに見学できます。
また、待ち時間や入場規制にかかることなく確実に見学できるというメリットもあります。
見るポイント、質問することをリスト化しておく
住宅見学会を有意義なものにするために、建物のどこを見てくるのか、何を聞いてくるのかを、事前に考えておきましょう。
家族の意見をまとめた「要望整理シート」を元に、理想やイメージしたものが実際にはどんな様子なのかを見たり、自分たちのこだわりが叶えられるのかを質問すると、これからの家づくりに役立ちます。
◆「要望整理」の詳しい内容はこちら
見るポイントと質問はリストにして持参し、当日はリストをチェックしながら見学するのがおすすめ。リストは紙に書き出すほか、スマートフォンのメモ機能を使うのも便利です。
持ち物をそろえておく
住宅見学会の種類に関わらず、
□見るポイント&質問リスト
□筆記用具
□メモ帳
□カメラ
□メジャー
は持っていくと良いでしょう。
カメラは、気になった設備や参考にしたいインテリアなどを撮っておき住宅会社との打合せなどで見せると、スムーズに共有でき便利です。
ただし、撮影不可の場合もあるので、必ず担当者に確認してから撮影を。
メジャーは、建物を傷つけないよう、布製のものを用意しましょう。
住宅見学会で見るポイント
住宅見学会は、建物はもちろん住宅会社についてもより深く知るチャンス。「素敵な家だったね」で終わってしまわないよう、見るポイントや確認すると良いことを知っておきましょう。
1.家の第一印象
まずは建物や部屋に足を踏み入れたときの「居心地のよさ」を感じとってみましょう。
そのあと、
●見た目の好み(デザインは直感で!)
●香りや空気感(ゆっくり深呼吸してみましょう)
●日当たりや風通し(日差しや風はどこから入ってくるか)
●室内の温度や湿度
をじっくり観察します。
日差しや風、温度・湿度は天候・季節・時間帯によっても異なります。できれば、晴れの日と雨の日、夏と冬、午前と夕方など、異なるシチュエーションで複数回訪れるのがベストです。
2.間取り・動線を体感
図面だけではわかりにくい、間取りや動線を自分の目で確かめましょう。
●天井の高さ
●コンセントの位置や高さ
●ドアの向き
●収納スペースの大きさ
●キッチン、ランドリーなど家事動線はスムーズか
LDKとテラスをフラットにして開放的に見せている、階段下を収納スペースにしているなど、空間の使い方で参考になるものはメモや写真に残しておくとよいでしょう。
3.標準仕様かオプションか
壁や床の材質、キッチンやお風呂の設備、サッシなどは、多くの場合、住宅会社ごとの標準仕様が設定されています。標準仕様ではなく、自分たちの好みで材質や設備、高さなどを変えたいときはオプション仕様となり、費用が上がることがほとんどです。
予算に大きくかかわるため、
●材質や設備など、どれが標準仕様でどれがオプションか
●どこまで標準仕様で対応でき、どこから追加費用が発生するのか(材質の変更、設置数の増減、断熱材の厚みの変更など)
●建物本体価格以外の付帯工事費用はどれくらいか(屋外給排水工事、エクステリア、インテリア、地盤改良などの費用)
を、しっかり確認しましょう。
特に住宅展示場にあるモデルハウスは、最上級グレードの設備を採用していることが多いため、標準仕様の確認は必須です。
建物の耐震等級やUA値・C値など、住宅性能に関わる仕様も聞いておくとよいでしょう。
4.住宅会社の施工力
住宅会社の施工力を知るには、建てられた家の様子を見るのが一番です。
●壁紙の端、収納の隅、手すり回り、水回りなどの施工が雑ではないか
●窓の位置やドアの建て付け、照明やスイッチの位置に、使いやすさへの配慮があるか
といった、細かいけれど心地よさにつながる点を確認しましょう。
施主さんが住むことを前提に建てられた完成見学会や入居者見学会(OB宅見学会)では、
●設計図面ができたあと、施工現場で変更した部分はあるか
●隣の家からの視線をどのように回避したか
などを住宅会社の担当者や施主さんに質問してみましょう。
住宅会社がどのように施主の生活に寄り添った提案・施工をしているかが見えてきます。
5.担当者の接客・人柄
家づくりは人生で一番大きな買い物。そのパートナーとして相性が合うかどうかは、家づくりを進めるうえでとても大切です。家を建てたあとも、不具合が生じたときやメンテナンスでお付き合いが続くこともあります。
●質問に対する答えが的確か
●きちんと話を聞いてくれるか
●住む人のことを考えた提案をしてくれそうか
●強引な売り込みをしてこないか
などを質問しながら、施工力だけでなく、住宅会社のスタッフや大工さんの雰囲気・対応を確認しておきましょう。
住宅見学会に行くときのマナー
服装
服は動きやすいもの、靴は脱ぎ履きしやすいものを選びましょう。特に建築途中の現場を見る「構造見学会」では、サンダルやハイヒールは危険です。
ほとんどの場合、会場にはスリッパが用意されていますが、和室などスリッパで上がれないフロアもあるので、靴下は履いていくか持参しましょう。
ほかの見学者や内装・インテリアと接触する可能性があるので、大きなバッグは避けましょう。荷物をなるべく少なくし、コンパクトにまとめるのがおすすめ。
住宅会社のカタログや資料をもらうときのために、マチがなくA4サイズが入るエコバッグなどを用意しておくと便利です。
子どもの同伴
住宅見学会の所要時間は、1軒あたり1~2時間ほど。子どもは途中で飽きてしまう可能性があります。
これから施主さんに建物が引き渡される完成見学会やオープンハウス、実際に暮らしている家にお邪魔する入居者見学会では、騒ぐ・走る・建物や内装に触れるなどして汚したり壊したりしないよう、充分配慮して参加しましょう。
モデルハウスにはキッズスペースが設けられていることもあります。設置の有無や利用の可否など、事前に確認を。
会場が建築中の現場となる構造見学会は、事故を防ぐためにも、小さなお子さんの同伴は避けたほうがよいでしょう。
完成見学会・入居者見学会のマナー
完成見学会の会場は、施主さんに引き渡す予定の大切な建物。入居者見学会の場合は、すでに生活している個人宅が会場です。
騒がない、トイレや洗面を使用しない、タバコを吸わないなどは最低限のマナー。傷や汚れを付けないように充分注意しましょう。
会場では、用意されたスリッパと手袋を着用し、外観、内装を問わず建物に直接触れないよう注意しましょう。
体調がすぐれない場合は訪問を控え、マスクなどの感染症対策を忘れずに。
まとめ
●住宅見学会は、行く前の準備が大切。事前予約はするのがベター。
●住宅見学会で見るポイント・質問することは、あらかじめリストに書き出しておく。
●住宅見学会当日は、マナーを守った服装や行動をする。
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