玄関土間をモルタルにした人が後悔しているポイント
モルタルとは、セメントと砂、水を混ぜ合わせた耐久性と耐火性に優れている建築材料で、玄関土間や駐車スペース、外壁に使用されることが多いです。
よく似た施工方法のコンクリートと違って砂利が含まれていないため、表面を滑らかに仕上げることができます。
玄関土間に使用されることが多いモルタルですが、住んだ後にトラブルが発生することも少なくありません。
この章では、玄関土間にモルタルを使用した人が後悔したポイントについて、詳しく解説します。
ひび割れてくる
モルタルは耐久性が高い建材ですが、年月の経過と共にひび割れしやすくなるのが特徴です。モルタルのひび割れは乾燥や雨による経年劣化などが原因で、硬くとがったものがあたっても割れてしまうことがあります。
また、湿度の変化や地震の影響でもひび割れることもあります。小さなひび割れであればそれほど気にする必要はありませんが、大きなひびを放置するとモルタルの劣化を早めてしまう可能性があるため、定期的なメンテナンスが必要です。
質素で安っぽい印象になる可能性がある
モルタルを玄関土間に使用することで、スタイリッシュな空間にすることが可能です。しかし、全体の調和をうまく取らなければ質素で安っぽい印象になってしまいます。モルタルは道路や歩道の仕上げとして使用されることが多く、お金をかけずに作ったように見えてしまうからです。
モルタルで玄関をおしゃれにするためには、玄関土間以外の部分にも目がいくように意識して設計するとよいでしょう。例えば以下のようなものが挙げられます。
- ・大きめのシューズボックスを設置する
- ・玄関に絵画を飾る
- ・壁紙にデザイン性を持たせる
玄関土間にモルタルを使用する際には、玄関全体との調和を見ながら設計し、違和感のない空間にすることが必要です。
シミになりやすい
モルタルは、現地で職人が仕上げる作業となり、原材料の混合も現地で行います。
セメントと水、砂がしっかり混ざっていない状態で施工してしまうと色ムラやひび割れの原因になってしまいます。混ざり切っていないモルタルで施工した玄関はモヤが入ったような仕上がりになり、見映えが悪くなります。
また、完成直後に飲み物などをこぼしてしまうと、液体がモルタル内に浸透することでシミになることもあるため注意が必要です。
仕上げ方によってはほこりが目立つ
モルタルは、滑らかな表面仕上げになるのが特徴です。しかし、雨の日には滑りやすくなるため、表面にあえて適度な凹凸を作ることがあります。
玄関土間でモルタルを使用する際には一般的な方法ですが、表面が凸凹になることでホコリが溜まりやすくなる点がメリットです。こまめに掃除をしなければ汚れが目立つ不衛生な玄関になってしまいます。
凸凹のあるモルタル玄関はほうきで掃除するのも一苦労なため、快適な状態を維持するためには手間がかかりやすいと言えます。
モルタルの玄関の魅力
モルタルを玄関土間で使用することには様々な注意点がある一方で、多くの魅力もあります。この章では、モルタルの玄関の魅力について解説します。
価格が安い
玄関土間の仕上げをタイルとモルタルで比較した場合、モルタルの方が価格を抑えることができます。
【張り・塗り替えの費用相場】
タイル仕上げの場合……1万5,000〜3万円/㎡
モルタル仕上げの場合…3,000〜5,000円/㎡
タイル仕上げと比較すると、モルタルの場合は1/6程度の費用に抑えることが可能です。また、モルタルは家づくりの初期コストを抑えることができるだけでなく、シミやひび割れ時のメンテナンス費用も、タイルより抑えることができます。
家の雰囲気によってはかっこいい印象になる
モルタル仕上げの玄関は、間口を広く明るい空間にすることでスタイリッシュに見せることができます。
一般的な家づくりでは玄関の設計は後回しになりがちで、ほかの居室を広く取るために玄関はコンパクトな設計になる場合も多いです。しかし、コンパクトな空間にモルタルの玄関土間を採用してしまうと質素なイメージになってしまう可能性があります。
モルタルが持つスタイリッシュな魅力を最大限生かすためにも、玄関を広く、開放的な空間になるよう設計することがおすすめです。
玄関土間に使用できるモルタル以外の素材
玄関土間の仕上げには、モルタル以外にもいくつか代表的な素材があります。モルタルと比較検討するためにも、それぞれの特徴を知っておきましょう。
この章では、代表的な玄関土間の素材としてタイルとコンクリート、玉砂利洗い出しについて解説します。
タイル
玄関に使用する素材として代表的なものがタイルです。タイルはカラーバリエーションが豊富で、ホワイトからブラック、淡いベージュやグレーなど家全体の雰囲気に合わせて、幅広い選択肢から選ぶことができます。また、質感も陶器風から天然石風など、オーナーの好みに合わせて選択できることが特徴です。
玄関タイルは濡れても滑りにくく掃除がしやすいことから、玄関土間として人気の素材です。10〜30㎝角で販売されており、目地の色も合わせて組み合わせが自由なところも大きな魅力です。
コンクリート
モルタルとコンクリートの違いは、砂利を含んでいるかどうかにあり、砂利を含んでいるコンクリートの方が強度が高くなります。
そのため、モルタルが持つひび割れしやすいというデメリットを解消できる点が魅力です。強度を保ちつつモルタルと同じようなスタイリッシュな玄関土間を目指したいという人には、コンクリートがおすすめです。
玉砂利洗い出し
玉砂利洗い出しとは、セメントと玉砂利(大きめの石)を混合させ、玉砂利を表面に露出させた仕上げのことです。モルタルやタイル、コンクリートよりも滑りにくくデザイン性が高いことから、旅館の玄関などでもよく使われます。
玉砂利には様々な種類があるため、オリジナリティのある玄関や和の雰囲気のある玄関にしたいオーナーにはおすすめの素材です。
玄関素材を選ぶポイント
玄関土間の素材にはそれぞれ特徴があることを解説しましたが、玄関素材を選ぶ際にはここで解説する3つのポイントをぜひおさえておきましょう。
家全体の雰囲気と合わせる
玄関だけでなく、その先に続く廊下や階段、リビングのドアを開けた雰囲気までを考慮し、玄関と家全体の雰囲気が調和する設計が重要です。
そうすることで、玄関だけでなく家全体のイメージを統一させることができます。家全体が無機質でシンプルな雰囲気ならモルタル玄関、和の要素を取り入れているのであれば玉砂利など、トータルバランスを重視して素材選びをしましょう。
予算に合わせる
モルタルはコストが抑えられる一方で、使い方を間違えると質素な雰囲気になるおそれがあります。一方、タイルや玉砂利洗い出しはコストはかかりますが、オリジナル性が高く、高級なイメージを与えることが可能です。
玄関にかけられる費用を考慮しつつ、要望を盛り込んだ空間になるように意識することがポイントです。家全体の調和を考えたうえで、予算の範囲内で最適な素材選びをしましょう。
機能、性能をよく理解する
玄関土間に必要とされる機能は以下の通りです。
- ・撥水性
- ・断熱性
- ・耐久性
- ・耐火性
機能性が高い素材を選ぶほどコストも高くなります。コストとデザインとのバランスを取るためにも、重要視する性能を選択し、最適な素材を選びましょう。
まとめ
スタイリッシュな印象になり人気のあるモルタル玄関。デザイン性だけでなく、コストパフォーマンスも高い点が魅力です。しかしその一方で、シミやひび割れしやすかったり、使い方によっては質素なイメージになることがあったりと後悔につながるポイントもあります。
失敗しないためにも、モルタルだけではなく、玄関土間に使用される他の素材と比較検討することが重要です。モルタルに関する正しい知識を知り、ぜひ理想の家づくりを実現させましょう。