家づくり、どの部分にお金をかけたらいいの?
家づくりには、ほとんどの方が「予算」があります。と言うよりは、今までも散々書いている通り、あるべきです! となると、その予算をどこに掛けるのか?が課題となります。ついつい、キッチンやお風呂をいいグレードのものにしたくなったり、壁を塗り壁にしたくなったりしますが、お勧めは「目にはみえなくなるところ」に掛けることです。具体的に言うと、地盤、基礎、断熱、構造材の4つ。ここは、住み始めたらあまり感じなくなる部分ですが、それあってこそ安心して住める住宅になります。また、建築業者として値段を抑えたいとお施主様に要望された場合は、お施主様があまり関心を示さない構造部分で落としたほうが売りやすいので、結構手を抜きがち。だからこそ家を建てる時は、お施主様自身が見えない部分にこそしっかりコストや手間をかけて安心できるものにしたい!と主張することが大切です。
どんな家なら、冬温かくって夏寒くない?
アパートから一戸建てに引っ越すと光熱費は上がるし、寒い。というお話を数年前まではよく耳にしました。最近は、少し減ってきているように思います。なぜかと言うと、一般的に販売されている住宅の気密(暖房で温めた空気が外に出たり、冷たい空気が中に入らないようになっていること)が上がり、断熱(壁を通じて室内の空気がさまされないこと)の性能も上がってきているからです。この流れはエコを推進するための国の方針でもあるため、今後どんどん進んでいくことが予想されます。しかしながら、販売されている住宅の中でも大きな差があるのは事実。国の規定ギリギリでは、正直けっこう寒くて暑いです。一方、エアコン1台で家中全部あたたかい!なんて家もあります。このように多様化しているからこそ、自分の目と体で確かめることが大切です。
また、住宅性能は建築業者さんの中でも知識差がかなり出てきている分野です。基本的には気密と断熱の数値が高い家が冬温かく夏涼しいわけですが、それは断熱材という材料の品質もさることながら、どのように施工するかということも重要です。ですので建築業者さんには、「どんな断熱材をつかっていますか?」ではなく、「これまで建てた住宅は気密と断熱はどの程度の性能ですか?」と聞いてみてください。気密・断熱に力を入れている建築業者であれば、測定をしていて数字を公開してくれる可能性もあります。数字は、断熱性能については「UA値」、気密性能については「C値」や「Q値」といった数字であらわされます。ちなみに先にお話した国の規定というのは、三河においては豊田北部の一部を除きUA値が0.87以下が基準とされています。ただ、そこまで細かく覚えていただく必要もありません。数字がいくつであれ、測定をしているというだけでかなり意識の高い業者さんであることがわかります。測定したことはなくても、測定できるということや、しない理由を納得できるように説明してくださる業者さんであればきちんと知識を持っている可能性があります。
また、これらの数値をあげていくには当然コストがかかり、家自体の値段が上がることがほとんどです。しかしながら、気密断熱がしっかりしている住宅は夏の冷房代、冬の暖房代が安くすみます。つまり、寒い暑いとストレスを抱えながら光熱費を出すのか、最初にまとまったお金を住宅の性能に支払い、毎年の光熱費を抑えながら、ストレスのない暮らしをしていくのかという判断であるともいえます。
地盤、基礎、構造は?
この3つが関係し、お施主さんにもピンとくるのはおそらく耐震性能。新しい住宅もたくさん倒れていた熊本地震で、倒壊しなかった住宅は耐震等級が3以上の住宅が多いそうです。しかし、この3以上は国が定めた基準ではないのでそれ以下の住宅もまだまだたくさん建てられています。なので、まずは最低限耐震等級3以上の希望を建築業者さんに出される方が私たちの相談者さんのなかには増えています。とにかく丈夫に。ではなく、「耐震等級3以上で」のように、具体的な依頼のほうが建築業者との相違もなくなります。
耐震の等級や、熊本地震については詳しくはこちらの記事もご覧ください。(https://www.sumailab.net/column/theme/4/article/30/)
このように、断熱も耐震も住み始めたり、何かあった時には意識しますが建てる時にはついつい意識がほかのところにいってしまいがち。でも、このような見えなくなる部分は、建ててしまったら簡単なリフォームでは決して変えることはできません。コストをしっかりとかけること。そして、それにしっかりと応えてくれる建築業者さんを探す手間を惜しまないことが大切です。