◆シズオカ[KAGU]メッセとは?
今年で第64回目となる“シズオカ[KAGU]メッセ”
開催されるようになったきっかけはとは?
「元々は業者向けの小さいイベントだったんです。ですが、一般の人達にも知ってもらいたいという想いで一般公開しました。まだ開発途中のものも展示されていますが、購入もできますよ」
-たしかに、今回はちょっと面白い家具が展示されていますね。
「今回のテーマは「わをつなぐ」という事で家具メーカーと異業種がコラボしたり、県外からも参加してくれています。こういった場を通してこれからの家具のありかたを提案できればと思います」(専務理事兼事務局長 大坪正典さん)
◆家具とファッションのコラボレーション
「Shizuoka Good Furniture 2016」コンテストにて、今年「静岡県知事賞」を受賞した『起立木工』さんの「アネロ・パディングチェア 」。背もたれから肘掛部分にかけての丸いフォルムが特徴的です。
「この曲線部分は機械では難しいので、職人が一つずつ丁寧に作り上げます。また、見ただけでは気付かないのですが、座面は回転するようになっているんですよ」 (営業部企画課主任 社本明伸さん)
使いやすさ、デザイン性、すわり心地を追求したこちらの椅子ですが、“スツール+α”をコンセプトにファッションブランド「mina perhonen(ミナ ペルホネン)」とのコラボが実現! (※写真下)
北欧テイストの生地とマッチして、どんなテイストの部屋でも馴染みそう。また、他の生地や椅子も材質から選ぶことができ、ファッション感覚で自分だけの椅子が作れるなんてオシャレですね!
■起立木工株式会社 http://www.kiritsu.co.jp/
◆最新家具はしゃべって占う!
今回の注目商品がこちら。『関本家具』さんのしゃべって占ってくれる鏡台「el Information to Living」。マイクを通して話しかけると、占い結果を音声で教えてくれるんです! 早速、どうしてこの家具を開発しようと思ったのかお話を聞きました。
「家具を媒体とした情報発信が出来ないかというお話をいただき、ドレッサー→女性が使う→女性は占いが好きという単純な考えから生まれました」
-なるほど、確かに占いは好きです(笑)
「仕組みはこの鏡台がネットに繋がっていて、ネットを通して人工知能(AI)が対話を可能にしてくれるんです」
-家具にネットとAIとは、未来な家具ですね!
「ここでも色々なお客様からこうしたらいいんじゃないかと色々なご意見をもらいます。たとえばお母さんが化粧をしていると、下に化粧品の新商品のCMが流れるとか。欲しい情報を家具からもらうという新しい形の家具を提供していきたいですね」 (取締役専務 関本雅和さん)
将来は家具から物を購入できる日が来るかも?
■㈲関本家具装芸 http://www.sekimoto.co.jp/
◆薄い壁でも収納スペースに
ただの壁にかかっている鏡と思いきや、中がスリッパラックになっているこちらの家具は『インテルナ南條』さんの「ウォール・イン・スリムキャビネット」。
壁を収納スペースににするなんて、盲点でした! 手前に出っ張っているタイプのキャビネットはよく見かけますが、デザイン的にもこちらの方がスマートです。
「指定のサイズの穴さえ開けてくれれば、新築でもリフォームでも簡単に取り付ける事が出来ます。中も棚を取り付けて、鏡の代わりにガラスをはめ込んだりと自由にカスタマイズできます。“収納だと気づかない家具”として活躍してくれますよ」 (パリの雑貨屋プロジェクトMD 南條晋也さん)
収納は欲しいけど、部屋が狭い。物をあまり置きたくない。なんて方に強い味方になってくれそうですね!
■有限会社インテルナ南條 http://www.pari-no-zakkaya.com/
◆クールシズオカ 「駿河指物」
この見事な木目の箪笥は『森下木工所・家具屋校倉』さんの「創業70周年限定モデル」。
「駿河指物(するがさしもの)」という伝統技法が使われているのですが、どんなものか職人さんに聞いてみました。
「徳川家康が全国の優秀な職人を西は京都から東は江戸から集め、その人達が永住して出来たのが「駿河指物」なんです。そして僕たちも県外出身が多いんですよ(笑)」
-それは不思議な繋がりを感じますね~!
「釘を使わずに、精巧に木を組み合わせてつくる技法なのですが、そうする事によって頑丈なものが出来るんです。親から子ども、孫と代々受け継いでほしいですね」 (根本正哉さん)
創業70年という伝統があるからこそ、納得のコメント。家具にロマンを感じました!
■森下木工所・家具屋校倉 http://aze-kura.com/
◆される人も、する人も 介護の味方「らくらく介護シリーズ 」
一見、何かのオブジェかな?と思うこちらは『パロン』さんの「らくらく介護シリーズ 」の「壁掛けアスレチック」。この赤い玉が渦に沿って動くようになっており、腕を動かすいい運動になるそうです。スタッフもクルクルさせながら話を聞いてみました。
「当社はもともとオフィス系の製品を作っていたんですが、高齢化社会になっていく中で介護方面で何か出来ないかと考えたのがこの“らくらく介護シリーズ”だったんです」
-今後は自宅介護が増えていきますね。
「これならお孫さんと一緒に遊んだりとコミュニケーションもとれます。介護する人もされる人も楽しく介護できるような家具作りを目指しています」 (小澤伊代さん)
他にもタンクに水を入れる形の「簡易移動式シャンプー台」など、人を助ける家具に今後期待大です!
■株式会社パロン http://paron.co.jp/
◆イエタテスタッフ一押し!「健康家具」
今回見て回った中、イエタテスタッフ一押しの家具は『久和屋』さんの「健康家具」です。
名前からして健康器具の一種?と勘違いしそうですが・・・なんで健康家具?
「うちのショールームに来てもらうとわかるんですが、家具屋に入ると鼻をつくツンとした匂いがしないんですよ。」
-あの独特な匂い苦手です・・・
「それは家具の製造工程に化学物質を使っているからなんです。うちでは植物油ベースの塗料(植物オイル)をつかっているから、身体に優しいんです。だから“健康家具”って言うんですよ」 (企画開発室インテリアコーディネーター 中川貴博さん)
ずっと使う物だからこそ、健康にも配慮したいという家具職人ならではの目線ですね! という事でイエタテスタッフ一押しとさせていただきました。
■株式会社久和屋 http://www.kuwaya.co.jp/
◆静岡家具の魅力とは?
静岡は全国でも有数の家具の産地です。私の家の近所にも家具工場があり、小さいころは木の良い香りを嗅ぎながら帰ったりととても身近なものでした。
今回取材を通して感じたのは、「静岡家具」はライフスタイルにあった形に進化し続け、伝統も引き継がれていたという事。また、取材中は皆さんキラキラした目で家具を紹介してくれました。静岡家具への職人さん達の愛。そこが静岡家具の一番の魅力かもしれません。