清水から国道52号線を甲府に向かい、道の駅とみざわから山間に入っていくと、牧歌的な日本の田園風景が広がる南部町福士に辿り着く。まさに隠れ家的田舎といってもいいほど、奥深い地域にやってくるなんて、ここSNORKを目指してやってくるほかないだろうと思うほどの場所。山の緑を背景に、ブラックとブラウンのスタイリッシュなウッディ調にリノベーションされた素敵な古民家がSNORKだ。
出迎えてくれたのは東北から移住してきて13年というご夫妻。工芸作家でもあるご主人と奥様、お二人ともヴィンテージの北欧家具、なかでもフィンランド家具が大好きでコレクションしてきた。
「ものに憑りつかれたんですね。」と笑いながら、増えてきたコレクションを見てもらうことが結果、商売になったと、今は土日祝のみ予約制でショップ&ギャラリーとしてオープンしている。
それにしてもなぜ東北からここへ?関東圏から来られる場所を探していたところ、紹介されたのがこの場所。第一印象で嫌な感じがしなかったし、ある意味、忘れ去られたような町だからこそ、隠れ家的にわざわざ訪れてもらう価値がある。誰も彼も来て欲しいわけではなく、本物が分かるお客様にきていただき、ゆっくりとヴィンテージ家具のストーリーをイメージしながら、モノの本質を見極めて欲しいから、この場所がよかった。古民家も自分たちでリノベーションしている。家具に合うように少しずつ手を加えるのもまた楽しみとのこと。
様々なメディアで北欧家具が取り上げられ、色やデザインが可愛いとか、ミニマルな暮らしにぴったりだとか、日本の中だけで育った北欧のイメージが先行してしまっている。
合理的な暮らしや、表層しか追わない暮らしは、本当の意味でモノへの感謝の気持ちにかけているのでは。フィンランド家具を深く愛するお二人が語る話には、ストイックなまでの家具に対するロマンを感じずにはいられない。
モノは誕生した瞬間から古くなる宿命を背負っている。だからこそ経年変化を楽しめるモノは深みを増し、語られるストーリーができていく。それがヴィンテージ家具の楽しみかた。「所有しないと分からない良さがあるんです。だんだんとモノを見る目が退化してしまっているのかもしれませんね」
かと言って他の人に強制するわけでもなく、本当に家具を愛しているんだなと、お二人の話はどこまでもエンドレスで続きそうなほど。
商品は、主にフィンランドを中心に、アルヴァ・アアルトやイルマリ・タピオヴァーラの家具、カイ・フランクやサーラ・ホベアのガラス、そしてパーヴォティネルの照明など、モダニズム期のヴィンテージデザインのモノ。お二人が厳選して取り揃えたモノ。
普遍的な価値をしっかりと継承し、新たな価値を生み出す。
そんな生き方を教えてもらった。
〒409-2102 山梨県南巨摩郡南部町福士15724TEL|0556-64-8130(土日祝日のみOPEN)
Gallery・Shop 11:00〜19:00 (営業日以外の平日はアポイントにてご案内可能)
Cafe 11:00〜19:00