豊かな大自然に囲まれた 北欧スローライフの街へ
のどかな田園風景が広がる浜松市北区都田町。その一角に、広大なガーデンやインテリアショップ、カフェ、薪ストーブギャラリー、本屋などが軒を連ねる街並みがある。一帯は『ドロフィーズキャンパス』と呼ばれ、古い倉庫や畑をリノベーション&リガーデンし、地域を丸ごと北欧スローライフの街として再生させた。
家具や雑貨全般を扱う『ドロフィーズインテリア』でバイヤー兼コーディネーターとして活躍する木野さんは、「もとは北欧のデザインに惹かれ、次第にモノを大事に使う姿勢、豊かな暮らしに魅せられていきました」と語る。彼女が気をつけているのは「ストーリーのあるものを見極めること」だという。
「例えばマリメッコの“ウニッコ”は、戦時中、デザイナーのマイヤ・イソラ氏が“明るい花が人々を元気付けるように”と願いを込めて生み出したものです」。50年以上を経ても愛される魅力、人と人を繋ぐアイコンとしての普遍性に惚れ込み、マリメッコ本社に掛け合って、日本一の品揃えを誇る正規代理店となったという。
体に馴染む椅子を見つけて、自然を体感する贅沢を
「まず”好き”と感じるものを1つ手に入れ、長く使うことが暮らしを豊かにする秘訣です。おすすめは椅子。これほど日常に寄り添うアイテムはありません」。そう話す木野さんが、愛し続ける北欧家具がある。それが「カール・ハンセン&サン」のハンスJ.ウェグナーによるYチェアだ。無垢の木の素材感を活かす美しいライン、ペーパーコードの座面が生む包み込むような座り心地。1950年代から愛される名作が、彼女の日常を変えた。「椅子に身を任せ、風の音、鳥の声を聞きながら本を読むだけで心が和みます。テレビをまったく見なくなり、自然を身近に感じるようになりました」。長く使うほどに座面が体に沿って、形を変えていくのも魅力。「旬があるものはいつか飽きて、居心地が悪くなります。“時間の枠を超えて愛せるもの”こそ、自分を満たしてくれるはず」と彼女は言う。そんな一品に出合えるよう、敷地内の『ドロフィーズカフェ』には様々な北欧の椅子が採用される。何十年も人々を幸せにしてきた名作から、“好き”を見つけてみたい。
もうひとつ、彼女が北欧の人々の価値観を実感するアイテムがある。「陶器ギャラリーに並ぶヴィンテージ食器は、私がフィンランドの骨董店を歩いて回って集めたもの。一般家庭で使われてきた食器さえ、これほど美しく、丁寧に扱われているんです」。その言葉に熱がこもる。モノを大切に扱い、壊れても修理しながら一生涯使い続ける。そして、子どもや孫の世代へと受け継いでいく姿勢。「すべての人がこの価値観を持てば、世界は変わっていくと思いませんか」。
“好き”が生み出す力は、時代も国境も越えて、未来へと繋がっていく。
木野さんが選んでくれた、暮らしを豊かにする5つのモノ
1(ライト).柔らかな陰影を生み出す、「ルイスポールセン」のPH5(11 万4,400円)
2(チェア).「カール・ハンセン&サン」ハンスJ.ウェグナーのYチェア(CH24)。樹種や仕上げを選べる(11万8,800円~)。テーブルも同作家のもの(33万8,800円~)
3.『ドロフィーズファブリック』には北欧テキスタイルが200種類以上。雑貨、洋服が並ぶ『マリメッコギャラリー』も人気
4.稀少なヴィンテージが並ぶ陶器ギャラリー(価格は5,000円前後~)。写真はアラビア社の「クロッカス」
5.『ドロフィーズカフェ』2階には、椅子を座り比べできるコーナーも。北欧の名作椅子がずらりと並ぶ
●DloFre's Interior(ドロフィーズインテリア)
「北欧の暮らし」をテーマに、家具、食器、テキスタイル、雑貨を幅広く扱う。デンマークの名作家具や、「キタニジャパン」などの国産木製家具をセレクト。
[TEL]053-428-3520/[住]浜松市北区都田町2706-1/[営]11:00~18:00/[休」火・水/[P]あり
-木野ゆり奈さん
『ドロフィーズキャンパス』統括マネージャー、インテリアアーティスト。専門学校でインテリアデザイン、コーディネート、設計を学び、設計事務所を経て『都田建設ドロフィーズ』へ。商品の仕入れ、ディスプレイを担当するほか、新築住宅のコーディネート、月に1度の北欧デザイン&ファニチャーセミナーなども行う。