広大な敷地に、明治時代に建てられた母屋、石蔵、土蔵が建ち並ぶご主人の実家。ここで空き家のままになっていた築１２０年の離れを壊し、和モダンの家に建て替えたのがＩ邸だ。母屋や蔵とのバランスを考えて、外観は茅葺の民家をイメージした独創的なデザインに。土間玄関から室内に入ると、急勾配の吹抜けが広がり、木の香りとともに時間がゆっくり流れている。床と天井には天竜杉を贅沢に使い、構造はもちろん、玄関ドアからキッチン、洗面台、収納棚、学習机に至るまで、すべて石牧社長の「手きざみ」で美しく仕上げた。旧家で使われていた床柱や建具、階段の手すり、窓ガラスや照明を再利用しつつ、奥さまが眺望を楽しみながらピアノを奏でる部屋、リビング兼用の茶室、薪ストーブなど、夫婦の夢がカタチになった。重厚な母屋に程よく馴染みながら、堂々とした佇まいを見せるＩ邸。これから幾世代にも渡って住み継がれていくだろう。