前橋・高崎
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小学校1年生のKくんは、とにかくじっとしていない。玄関前でラジコンを操っていたかと思えばいつの間にか庭に回り、砂場でひたすら土を掘り始める。ウッドデッキからリビングに上がると、今度は縄跳びに夢中だ。その姿をほほ笑ましく見守る奥さまが、新居に引っ越した当時のエピソードを話してくれた。
「最初に『縄跳びしていいの?』って聞くんですよ」。それまでは東京のマンションで、隣人を気にして声をひそめるように暮らしていたそう。室内で縄跳びなんてと思うかもしれないが、「『いいよ』って言ってあげられることがうれしくて」。
もともと外遊びが好きなKくん。子どもはのびのび育てたいと思っていたY夫妻。子育ての環境を考えた末、小学校入学を機に奥さまの実家がある藤枝市で家を建てることに決めた。新築にあたっての希望は、年数を経ても味わいの変化を楽しめる木の家であること。風通しがよく、夏でも涼しい家であること。東京にいながらの打ち合わせや施工だったが、メールや電話で細部まで確認しながら順調に進めることができた。
新居で新生活が始まると、Kくんを中心にY家はそれまで以上にアクティブに。歩いてすぐの蓮華寺池公園で山に登ったり、エビやハゼを捕ったり。スキーやスケボーで遠出をすることも。東京では遠かった自然が、あっという間に日常になった。
五感で自然を感じる幸せ。それは家で過ごすときも変わらない。無垢の木や塗り壁などの自然素材で包まれた空間は、パッシブデザインによって光や風を存分に取り入れられる。「花粉の季節が終われば、窓を開けて、裸足になって過ごします」と奥さま。普段から空気がきれいだと感じるものの、何よりうれしかったのは、東京では頻繁に通院していたKくんのぜんそくが、ほとんど出なくなったことだ。
暮らし始めて1年。Y邸にはあちらこちらに飾られたKくんの作品が増えてきた。階段にはこれまで描いた絵の数々。書斎や寝室には、ご主人と奥さまそれぞれに宛てた手紙。心も身体も健やかに育ってほしいという両親の想いが詰まったY邸は、陽だまりのような優しさに満ちている。
家の中でも走り回るKくん、やっぱりお母さんが大好き。キッチンには奥さまの身長に合わせて配置した上部収納やKくん用のデスクなど、きめ細やかな造作が見られる
『仲田工務店』からの提案というマグネットスペースには思い出の写真や手紙がいっぱい
寝室の棚にはKくんからの手紙。のびのび成長していく日々を家族で大切に過ごしていきたい
階段の壁一面はKくん専用のギャラリーに。これから作品が増えていく楽しみも
ガルバリウムと塗り壁のコントラストが美しい外観。玄関から飛び出していくKくんの元気な声が響く
手で触ることができる土や草が目の前にあるという贅沢。木や芝が枯れる冬、すべてが色づく春、季節を感じられる庭にこだわった
鳥の声。風の音、木の匂い。Kくんには自然の宝物を五感で感じてのびのび育ってほしい
「家でのんびりするのは雨の日くらい」と奥さまが笑うKくん(小1)は元気いっぱい。取材時、仕事で不在だったご主人は東京へ新幹線通勤。信州の自然が好きで、家族でスキーにもよく出かける。
フリーライター