周囲を山々の緑に囲まれた土地に建つＴ邸。吹き抜けの開放感あふれる室内は、真っ白な漆喰の壁と黒い柱や梁とのコントラストが美しい。リビングの大きな窓を開けると、目の前に広がる雄大な山を借景として取り込み、四季折々の風景を愉しむことができる。ウッドデッキとつながるリビングとダイニングは外との境界を曖昧にし、より空間の広がりを生み出している。しかも、この心地よいＬＤＫが北側を向いていると聞いて驚いた。一般的には、日当りの良い南面にリビングを配置するものだが、北面の方が視界が開けているのを感じ取った担当の三角さんの提案で、家づくりのセオリーに挑戦したのだ。吹き抜けの高窓を通して南からの光と風をLDKに採り込むと同時に、屋根の長いひさしが直射日光を遮り、山に反射した柔らかな光が室内に届くため、省エネで快適な暮らしを実現。設計士と施主さんとの強い信頼関係から生まれた木の家は、理想以上の住み心地をもたらした。