梁を見せた板張りの高天井やウッドタイルの壁、キッチンまでも木目で統一したLDKは、穏やかな気のぬくもりに満ち、初めて訪れた人も心がほっと和む。階段下の書斎スペースでAさんが奏でるピアノの調べが心地よく耳に響き、窓から外に目をやると、緑の野原にコスモスが揺れ、子どもたちが楽しそうに蝶々を追いかけていた。「聴いてみていいなと思う曲があたら、楽譜を買ってきて練習するのが楽しみなんです。子どもが幼稚園でならった曲を弾くこともあります」と微笑むAさん。玄関の収納棚に飾ったミニカー、お気に入りのポスター、パントリーのオーブン棚に並ぶ食器類やガラス瓶、どこを見ても夫妻のセンスが感じられ、好きなモノだけで創り上げた空間で日々の暮らしを楽しんでいる様子が伝わってくる。「僕らのライフスタイルや感性に合った独創的な住まいをつくりたかったので、最初から『建築家』は家づくりのキーワードでした。でも、デザインだけでなく、耐震性や気密性や断熱性といった目に見えない性能も大事。建築家によるデザインと優れた性能の両方を叶えたかったんです。」と語る。我が家スタイルの住空間を心から慈しんでいるAさん夫妻。この家は二人の手で、さらに素敵に進化していくに違いない。