道路側の壁にはできるだけ窓をつけず、平屋のような感覚で暮らせ、広めのガレージがある家。そんな希望をカタチにしたのが、ガレージ付きコートハウスのK邸だ。中庭に面して、L 字型に繋がるLDK と寝室はガラス張りに。ガレージ側の壁を白くすることで、日中はもちろん、朝日や夕方の日照も反射させて、日暮れ時まで明るい居室に。中庭に臨む抜け感のある玄関ホールのガラスの地窓も、家全体の一体感に一役買っている。さらに空間に広がりを持たせているのが、縦方向に視線を運ぶトールサイズの建具や、奥行きを強調する乱尺張りの床だ。それに加え、造作のテレビボードは、階段の一段目や小上がりと高さを合わせるといった細かい配慮も随所に。ラインを揃えることで、家はこれほどまでにスタイリッシュな表情を見せる。そんなセオリーを改めて認識させてくれる。シンプルな家だからこそ、見た目の奇抜さや意外性ではない、暮らしのための本当に心地いいデザインが際立っている。