山梨県
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花とロマンの里、西伊豆・松崎町。街のいたるところで、漆喰の伝統技法を活かした「なまこ壁」の建造物を見ることができる。2人の子育てを終えた夫妻は、そんな風光明媚な松崎町の入り江に優美な輸入住宅を建て、穏やかな暮らしを謳歌している。「20年前、この美しい景色に感動して土地を買っておいたんですよ」と嬉しそうに話すご主人。すぐ目の前に広がる海では魚や蟹が泳ぎ、引き潮になると砂地が現れ、ここが日本であることを一瞬忘れてしまいそうになる。
若い頃から海外旅行が好きで、欧米のほとんどの国を観光した夫妻。長女もカナダ留学の経験がある。ご主人は、暇を見つけては輸入住宅の本や雑誌を読み漁っていた。奥さまも赤毛のアンの「グリーンゲイブルズ」のようなかわいい家に憧れてはいたものの、まさか自分たちが輸入住宅に住むようになるとは夢にも思わなかったという。
ひとくちに輸入住宅といっても、アーリーアメリカン、フレンチ、ジョージアン、クイーンアン、チューダーなど、さまざまな種類がある。ご主人が選んだのは総石貼りの英国・コッツウォルズスタイルの家。「天然石を贅沢に貼った外観デザインが好きなんです。時が経つほど味わいも増してきますしね。多角形の塔屋にも英国伝統の文化を感じます」。理由はそれだけではない。実は、夫婦の思い出の新婚旅行先が英国だったのだ。
リビングの家具は「アシュレイ」でコーディネートした。どの部屋もすべて海外製品ではなく、以前から愛用していた家具や雑貨をそのまま置いてみると、意外にも収まりがよく、自分たちらしいシンプルで気ままなライフスタイルを楽しんでいる。全室オーシャンビューの家は夫婦の宝物。どんなに疲れたときも、気持ちが落ち込んだときも、室内から見える海の景色に癒やされる。「時刻によって海の表情が違うし、魚が飛び跳ねるのを見てもほっとします」と奥さま。庭には建物と一緒に造作したバーベキュー専用ブースもある。今までほとんど使わなかったけれど、今年の夏は子どもと孫を呼んで楽しもうと密かに計画している。
水辺にたたずむ総石貼りの英国コッツウォルズスタイルのT邸。多角形のパノラマ塔が山と海に美しく映える。ミュージアムやレストランと勘違いして、入って来ようとする観光客も少なくないという。引き潮になると砂地が姿を現し、日本とは思えないような美しい光景に。周辺には松崎町を象徴する「なまこ壁」の建造物が点在し、洋と和のコントラストが面白い
新婚旅行で訪れたイギリスで購入した陶器の人形。33年経った今も大切に保管し、リビングに飾ってある
7連窓の塔屋が夫婦のお気に入り。リビングの家具は「アシュレイ」でコーディネートした
外国のホテルを思わせる造作の洗面台。朝、歯を磨きながら海を眺めるのが奥さまのルーティーン
満潮と干潮によって、2階の窓からまったく違う景色を楽しめる
孫のR君はジイジ、バアバが大好き。いずれは彼がこの家を住み継ぐことになるのかもしれない
結婚して33年になるTさん夫妻。地元松崎町で民宿を経営。近所に住むかわいい孫2人が毎日遊びにくるのを楽しみにしている。ご主人の若い頃からの夢だった輸入住宅をついに実現した。
(株)好文堂代表取締役。早大卒業後、リクルート、浜松百撰を経て2007年独立。住宅、スポーツ、企業紹介、学校案内、人物インタビューを得意とする。著書「失敗しない家づくりの法則」。静岡コピーライターズクラブ(SCC)会員。