アプローチから見るその家はミュージアムのような佇まいだ。大きなピロティを抜けたエントランスから、Sさんの日常空間へ。2階に到達すると、ガラスの壁面いっぱいに緑が広がる。隣の敷地に建つ実家の庭と隣接する公園の緑、さらに富士山の眺望が楽しめるリビングだ。建築家とまず話をしたのは、どんな空間で、どんな暮らしを営んでいきたいかということ。「生活感が出ないようにと伝えました。ファーストプレゼンのカラーパースを見て、美術館みたいでかっこいいと思いました」とご主人。全館空調の吹き出し口は空間のデザインを損なわない細いスリット状にして各部屋に。ホテルライクのサニタリーはタイル貼りの造作で。夫婦が希望した隠す収納では、市販品の収納ボックスでカスタマイズできるサイズに設計するなど実用面での細かな配慮も嬉しい。おかげで非日常空間をそのまますっきり保つことができる。現代アートのような家で、休日はまさにリゾートステイだ。