子育て安心住宅 Design Craft Office

目覚まし時計は小鳥のさえずり。カーテンを開けると、山々の緑が昇る陽に照らされて次第に鮮やかさを増し、窓を開けた瞬間に森の精気を含んだ空気が部屋中に行き渡る。ダイニングには奥さまの手料理のおいしそうな香りが漂い、家族3人で朝食を楽しむ。それがMさん一家の朝の日常だ。

日本の食の原点であるお米を大切にしたいという思いから、食生活は米飯と和食が中心。「家族に毎日安心・安全な料理を食べさせてあげたくて、有機野菜や無添加の食品にもこだわっています」と奥さま。「そもそも僕がマイホームを建てたいと思うようになったのも、妻が毎日一生懸命料理を作ってくれるから。もっと広々とした使いやすいキッチンで料理ができるようにしてあげたいと思ったんです」とご主人が微笑む。

自然の中でのびのび暮らしたいと、天竜の山々に囲まれたこの場所を選んで新居を建てることに。周囲の環境だけでなく、建物も体にやさしい自然素材にこだわり、床や梁にはヒノキの無垢材を使用。家の中にいても外の自然を感じとれるように、LDKを吹抜けにし、開口部も各所に広く設けた。絵本作家の奥さまは、「この家で暮らすようになってから、インスピレーションが次々と湧いてきて、描き切れないほどです」と語る。子どもを生み育てる経験を経て、絵本を通じて伝えたいことがいっそう増えた。自然の息吹が身近に感じられ、ヒノキの香りと温もりに包まれた住まいは、「暮らす」と「創る」を両立するのにふさわしい空間だ。