季節とともに変わりゆく絵画を、リビングで愛でる。野山に建つこの平屋では、そんな贅沢な時がながれる。19.2畳の開放的なLDKの南側は、ほぼ全面が大きな窓で埋め尽くされている。これが、緑豊かな田園風景を切り取る「額縁」の役割をはたす。また、アイランド型キッチンも南向きに置かれているため、料理のときも目前に自然の景色が広がり、季節の移ろいを届ける。リビング内の羽目板は軒天まで流れるようにデザインされ、視線は自然に外へと向かう。また、カーテンレールを埋め込み式にして、目立たなくするなど、絵画を最高の状態で楽しむための、細やかなこだわりも垣間みえる。借景のしかけは玄関にも。家に入ると、庭から山脈までが描かれた奥行きある季節の「絵画」が出迎えてくれる。そして、庭には、広々としたウッドデッキ。視覚だけでなく、からだじゅうで自然を感じられる。もちろん、設計士の自邸だけに、機能性も高い。手洗い場は玄関入ってすぐの位置に。脱衣から洗濯、物干し、収納までが一か所で済ませられる間取りも、日々の暮らしにやさしいつくりになっている。