庭の緑に囲まれるように、ゆったりと佇む平屋。ブルーの外壁がシャープな印象をもたらすこの家が、Oさんが母親と妹と暮らす新居だ。Oさん一家は代々農業を営んでいたが、数年前に父親が病床に伏したため広大な農地を宅地化。そこで家づくりを手がけたのが縁で『櫻 工務店』の櫻井充さんと出会い、家の建替えを依頼した。「コンセプトは、木をふんだんに使ったモダンな家でした。家族が集まるリビングを広く、動線は短くしてほしいとお願いしました」。そうOさんが語るようにシンプルで無駄なく動けるのが特長。南側の玄関からL字を逆さにした形でチーク材の廊下が走り、西側に母親の部屋。LDKの入り口は2か所あるので、どこからでもすぐにアクセスできる。「掃除はぐるりと手早くできて、風もよく通ります」とお母さま。デッキが張り出したオープンなつくりの上に、庭では父親が植えた果物の木々が季節ごとに花や実をつけ、近所の子どもたちがよく遊びに来るという。人との自然な交流を促す“広場”のように、地域に開かれた住まいづくりに成功している。