栃木県県央
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休日の朝8時、奥さまと子どもたちが目を覚ますと、ご主人はベッドにいない。「問題です。父ちゃんはどこに行ったのでしょうか?」そんな奥さまのクイズに、きょうだいは真剣に頭を悩ませる。「わかった、今日は釣りだ!」。子どもたちのカンは鋭くて、なぜかいつも正解するのが面白い。
Kさんが長年親しんできた趣味は、スノーボード、スケートボード、サーフィン、釣り、そして新築をきっかけに始めたDIYと、薪ストーブの手入れ。休日の早朝は季節や天気で行き先を選び、ある日は釣りへ、ある日はスケボーパークへ。朝食前に帰宅して、家族みんなで食事をするのが日課だ。釣りの成果があれば「すぐにさばいて、家族に披露します」とKさん。道具も技法も極める彼が、家づくりに全力を注いだのは新居を見ればわかる。アウトドア用品や丸ノコをそのまま置ける広い玄関は、リビングと一体化した土間に繋がり、薪ストーブが炎を揺らめかせる。
「家に求めたのは、いつもみんなの息づかいを感じられること」と奥さま。ご主人が土間で作業をする間、子どもたちはリビングや和室でカードゲームをしたり、けん玉を練習したり、お絵かきをしたり。2人が喧嘩を始めると、ご主人が手を止めて仲裁に入り、いつの間にか笑い声がリビングに響く。そして再び気がつけば、Kさんは薪ストーブの様子を見ている。この空気感は、吹き抜けを通して2階のフリースペースまで巻き込み、全体を一つの空間に仕立てる。いつも近くに家族の気配があるのが心地いい。
笑い声が止んだと思ったら、みんなでお昼ご飯の準備を始めていた。テーブルはきれいに片付き、子どもたちが手伝う姿も微笑ましい。すぐに部屋が整う秘訣は、キッチン収納やファミリークローゼットなどの計画収納で、これは奥さまの努力の賜物だそう。部屋の中は広く、サッカーでも卓球でも思いのままに楽しめる。「この家で暮らし始めてから、子どもたちが穏やかになりました。ゆとりがあるし、炎の癒し効果のおかげかな」そう奥さまは笑う。
1日の終わりには、ストーブを囲んでアイスクリームを食べる。これ以上幸せな場面は、なかなかお目にかかれない。
土間とリビングを分ける緩やかなカーブや、勾配天井、吹き抜け、窓越しの庭まで一つの空間として繋がる。「設計士さんからアドバイスされたのがきっかけ」で薪ストーブを導入した。その世話がご主人の趣味になり、家族団らん中も時折火の様子を見に席を立つのは日常風景。家族で暖かな暮らしを堪能している
2019年の半ばに入居し、ご主人が初めて挑戦したDIY作品は薪棚。次はスケボー用ミニランプ(だ円を半分に切ったような練習台)を製作予定で、庭キャンプをするのも夢だ
ご主人が早朝の釣りを終え、帰宅するとまずウェットスーツを乾かす。「マンション時代はこの作業が大変でした」とKさん。玄関前には枕木やレンガのアプローチがあり、家族で植えた花がかわいらしく咲く
ゆとりあるキッチンは、親子で並んで作業ができる十分な広さ。キッチン前の造作収納にはランドセルや教科書、日用品が収まり、LDKを広く見せてくれる
土間にキャンプ用チェアを置いて、炎を見ながらアイスクリーム。いつもはお風呂後の恒例
今までの住まいはマンションの20階で、アウトドア活動後の収納が大変。そこで新築を希望したものの、ハウスメーカーはどれも同じに見えたそう。人生の設計図を描き、工務店選びに1年以上を費やした。
情報誌の編集者を経てフリーライターに。カフェや雑貨店巡りが好きで、お店さながらにテーマ性のある家づくり、建物に潜むご家族のストーリーを見つけるたびにワクワク。二児の母。