静岡県東部
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桜が咲き、春らんまんの4月。S邸の裏山ではタケノコが旬の時期を迎え、奥さまは毎日収穫と下ゆでに大忙し。とれたての新鮮なタケノコは煮物や天ぷらとなって食卓にのぼる。食べきれないぶんは親戚や友達にあげたり、味付けして真空パックにして保存したり。冷凍すれば1年間楽しめるのだとか。「竹やぶの掃除が好き」と話す奥さまは、秋から冬の間の2か月ほどをかけて竹を切り、下草を刈っている。竹林をきれいに保っているからこそ、地面から顔を出す前の柔らかいタケノコを探し当てられるのだろう。
一方、定年退職したご主人は、農業を営んでいたお父さまが残した田んぼや畑の手入れをするのが日課。約80アールの畑で、春は菜の花、絹さや、玉ねぎ、夏はなす、きゅうり、秋はさつまいも、冬は大根、里芋、太ネギなど、四季折々の野菜を丹精込めて育てている。
「山をきれいにするのも畑仕事も、体が健康でなければできないこと。贅沢な仕事だと思います」と奥さま。日中は外でそれぞれ作業をしていることが多いというお二人の憩いの場が、5年前に建て替えた和風平屋の住まいだ。
元々は江戸時代末期に建てられたという茅葺き屋根の住居で、50年ほど前にご主人のお父さまが屋根を瓦にして大幅に改築。「苦労して建てた家を壊したくない」というお父さまの意思を尊重して大事に住んできたが、年を経て老朽化も目立つようになってきた。そこで土木・建築に長年携わってきたご主人が、自身の仕事の集大成との意味を込めて建て替えを決意。元の家の柱や障子などを取り入れて、新しく生まれ変わらせた。
植栽を元のまま残した庭と池が見えるダイニングキッチンに、家族が集まるのは夕方6時頃。ほぼ毎日晩酌するというご主人に合わせて7〜8種類、時にはテーブルに載りきらないほどのおかずを奥さまが用意するという。もちろん、畑で収穫した野菜も、汁物や和え物、サラダ、炒めものと、多彩な料理となって登場。無垢材と塗り壁がかもし出すやわらかな雰囲気が家族を包み、くつろぎのひとときが穏やかに過ぎてゆく。
家の裏山でたわわに実ったレモンを収穫。かごに盛ってキッチンに置いておくだけでも映えるし、料理や飲みものにたっぷり使える
大きな窓を配した明るいダイニング。タモの床に塗り壁、杉板張りの天井で、落ち着いたカフェのようなイメージに
小窓から光と風を取り込む腰屋根が印象的な和風の平屋。耐震・断熱など、住宅性能も高い
高い天井に現しの梁が続く廊下は開放感もたっぷり。ここから各部屋へと光が届けられる
高級旅館のような格調高い玄関では、ヒノキの床がゲストを迎える。正面には坪庭も
7江戸末期からの建具も生かし、融合させ、レトロモダンに仕上げた。当時の人の手で掘られた古い障子が、歴史と趣きを感じさせる
長年丹精込めて育ててきた立派な庭と池はそのままに。農作業の合間、縁側に座ってのんびりするのも心地よい時間
自然の恵みが暮らしを彩る
5年前に定年退職したご主人と奥さま、長女の3人暮らし。所有する田畑や山林で自然の恵みを受け取り、悠々自適に暮らす。お盆や正月には離れて暮らす長男一家と次男一家が帰省して賑やかに。
(株)アルバイトタイムス、(有)ディー・クラフトを経て2003年独立。住宅、グルメ、シニア向け記事を中心に取材・執筆。「イエタテ」では、素敵なおうちとハッピーな家族との出会いが何より楽しみです!