静岡県東部
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大根、ニンジン、ほうれん草、スナップエンドウ。奥さまの両親が近くの畑で育てる採れたての野菜たちが、Sさん家族の毎日の食卓を彩る。大根とニンジンは千切りにして。料理好きな奥さまお手製の玉ねぎドレッシングをかければ、定番のサラダが完成。ニンジンの葉は天ぷらに、大根はおろしてハンバーグに添えるのもいい。ご主人は「結婚してここに住むようになってから、前よりも野菜が好きになりました」と話す。
奥さまが「これ混ぜてくれる?」「ちょっと炒めてもらっていい?」と長女と次女に声をかけると、2人はサッとキッチンに入って慣れた手つきでお手伝い。まだ幼い長男は、アイランドキッチンの周りをぐるぐる走り回るのが大好き。キッチンと一体となったダイニングテーブルには、家族が自然と集まってくる。
S邸は奥さまの祖父母が住んでいた築50年の純和風住宅をフルリノベーションした家。「キッチンとトイレが両端にあって不便で。暗い・寒いという悩みもあったけれど、祖父母が所有していた地元の山の木で建てたと親から聞いていましたし、おばあちゃん子だったから家に愛着もあり、残したかったんです」と奥さま。
南側に3室並んだ和室は、広々としたLDKに生まれ変わり、耐震補強と断熱材は現代の仕様にバージョンアップ。以前は家の中が寒くて厚着をさせても子どもたちのほっぺが真っ赤だったというが、今では部屋着で快適に過ごせている。基礎と構造柱、梁を残し、使わなかった梁などは飾り梁に。建具は障子紙を破れない新素材に変えて再利用。祖父の家に刻まれていた家族の記憶とぬくもりを、家中にちりばめた。奥さまは「祖母の想いを引き継ぐことができて、本当によかった」と満足そうにほほ笑む。
夏にはトマトやキュウリのほか、大量に採れるナスが毎日のように食卓に並ぶ。「またナス?」と言いながらも、麻婆、天ぷら、味噌汁と奥さまの多彩なアレンジでしっかり完食する子どもたち。時にはお母さまに呼ばれて野菜の種まきや苗つけを手伝うことも。食にまつわるさまざまな経験を通じて健やかに成長している。
カフェ風のオープンキッチン。手元が丸見えにならないようにカウンター周りはタイルで目隠し。天窓から自然光が入って明るさも十分
2階のロフトから1階を見降ろす。再利用した古い梁が新しい住まいに違和感なく馴染み、いい味を出している
昔ながらの広い土間玄関には、来客とちょっと話ができるベンチを作ってもらった。家の雰囲気に合う素材とデザイン提案は、空間デザイン心理士の資格も持つ『Ayami建築工房』の建築士・石川文美さんが得意とするところ
リビングには飾り棚を兼ねた収納を造作し、古民家風の家に合わせてアンティーク調に統一。収納家具は買わずにすんだ
玄関脇に作ったご主人の趣味部屋。アウトドア用品を出し入れできる専用の入口も設けた
キッチン背面のカップボード。祖母が使っていた器を引き継ぎ、大切に使っているカフェ風のオープンキッチン。手元が丸見えにならないようにカウンター周りはタイルで目隠し。天窓から自然光が入って明るさも十分
野菜はほぼ外で買うことはなく、実家で採れた旬野菜でまかなう。5年前から米作りも始めた
アウトドア好きなご主人と料理好きな奥さま。長女・次女は遊びたい盛りの長男の面倒見もよく、いいお姉さんぶりを発揮。節分には奥さまと一緒に恵方巻きにチャレンジしたそうだ。
(株)アルバイトタイムス、(有)ディー・クラフトを経て2003年独立。住宅、グルメ、シニア向け記事を中心に取材・執筆。「イエタテ」では、素敵なおうちとハッピーな家族との出会いが何より楽しみです!