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ご主人の勤務先が街なかにあることから、中心市街地の近くで新しい住まいを考えていたHさん。時間をかけてようやく見つけたのは、間口6m、奥行き32mという細長い形状の土地。「見た瞬間、ここだ!って思いましたね。街なか近隣とは思えないほど静かで、周辺は無機質な古い建物が多くて。なんだか「秘密の場所」を見つけたような、不思議な感覚が気に入りました」とご主人は語る。
育休中の奥さま、保育園に通う2人の娘さんとの4人暮らし。マスメディアの業界で働くご主人と奥さまは、多趣味な自由人であることに加え、ていねいで落ち着きのある暮らしを愉しむセンスに長けている。クラフト作家による手づくりの作品が好きで、旅の先々で出会った照明や革製品などを買ってきては、空間に上手に取り入れている。「家も家具も料理もそうだと思いますが、作り手の顔が見えるものって、使う人の気持ちを豊かにしてくれますよね」と微笑む奥さま。休日は、「男の料理当番」と題して、ご主人がキッチンに立ち、家族やゲストにプロ顔負けの本格的な料理をふるまう。カメラも長年の趣味で、ふらっと出かけた先や、日常の何気ないシーンを切り取った趣のあるフォトグラフがニッチに飾られている。
熟練の大工が無垢の木を「手きざみ」加工で仕上げた室内は、和とモダンさがうまく重なり合い、落ち着いた時間が流れる。玄関からリビング、ダイニングに向かうに連れて天井が高くなり、目線の先には舞台のようなひな壇状の庭が広がる。ダイニングの天井がカーブを描いていたり、外と中のつながりを感じることから、狭小地とは思えないほどの開放感。小上がりの畳コーナーにちょこんと座ると、ちょうど目の高さに四季折々の庭の花々が見える仕掛けで季節を愉しめる。
無駄なものを省き、コンパクトでもおおらかに暮らせる家に喜びを感じるという夫妻。職業柄、さまざまな業界の人々との交流があり、自宅に招くこともしばしば。「Hさんらしい家だねと言われるのが一番嬉しいんです」とご主人。住みたい場所で、思い描いたものをカタチにして暮らす。これほど贅沢なことはない。
天井をRにしたことで、奥行きと開放感が生まれたダイニング。床と天井は天竜杉、壁はオリジナルの珪藻土。忙しい日常から離れ、まるで小さな森の中に佇んでいるかのように気持ちが落ち着く。アクセントのぽってりとしたペンダントライトは、森町のガラス作家によるハンドメイド
造作のキッチンを壁付けにして、リビングを広く
土間仕上げの玄関ホール
2ボウルの洗面室。ご主人は娘さんと一緒に手を洗う時間が好き
料理が得意なご主人。フレンチ、イタリアン、中華など何でもOK!
イベントや庭を見て過ごす時間を楽しむウッドデッキ
大工の手しごとが冴え渡るヒノキの階段。高さ、奥行き、傾斜まで緻密に計算されている
多趣味な文化人で、穏やかな人柄の中に揺るぎないこだわりを持つご主人と、朗らかで社交的な奥さま。全棟構造計算、本物の自然素材を使い、暮らしの器をつくる『石牧建築』に新築の夢を託した。
(株)好文堂代表取締役。早大卒業後、リクルート、浜松百撰を経て2007年独立。住宅、スポーツ、企業紹介、学校案内、人物インタビューを得意とする。著書「失敗しない家づくりの法則」。静岡コピーライターズクラブ(SCC)会員。