造園業を営むご主人が自作した外構を通り、木で囲われた玄関にたどり着く。ドアを開けると正面には、2階の廊下越しに降りてくる光の陰影が印象的な木の壁。オリジナル建具の向こうには、無垢の木に包まれたやすらぎのリビングが広がっている。家の外から内まで、動線すべてで自然を感じられること。それがS邸にゆったりとした時の流れをもたらしているのかもしれない。もともと、S夫妻が求めていたのは「素材にこだわる家」だった。『仲田工務店』の答えは、ヒノキ、ツガ、スギ、タモ、サクラなど、さまざまな樹種を適材適所で使い、それでいてすっきりとした統一感で仕上げた上質な空間。さらに、パッシブデザインによって光や風を暮らしに取り込み、長期優良住宅以上の基本性能を確保することで、安心と心地よさをプラスした。窓辺に四季を感じられるベンチや隠れ家的書斎。家族が集まるLDKで過ごす時間が、新しいS家の幸せな日常なのだろう。