静岡県西部
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老朽化が進み、故障もしくは廃車同然の車やバイクを修復して、乗れるように再生させることを“レストア”という。幼少の頃から工作が得意だったご主人は、10年前からこのレストアの魅力にハマり、自分で作ったジープを保管するための広いガレージが欲しくて新築した。
建築家に依頼して完成した住まいは、地下1階がRC造のガレージで、その上が木造2階建ての住居。36.3畳のガレージには、「ウェポンキャリア」と呼ばれる2台の大きなジープがある。朝鮮戦争やベトナム戦争の時代に活躍していたアメリカの軍用車輌だったという。その割に新しいなと思ったら、なんとご主人が4年をかけて一人でレストアしたものだった。「完成したら意外とつまらなくて(笑)。車をバラして、部品を組み立てて、磨いて、塗装する過程が面白いんですよ」とご主人。ここでメンテナンスしたり、プラモデルを作ったり、車の雑誌を読んだりして、自分だけの時間を楽しんでいる。
一方の奥さまも、漫画本を読んだり、フィギュアを収納したりするための専用部屋を持っていて、最近は人気漫画の影響を受けてママ友とサイクリングを楽しんでいる。奥さまはスケッチがとても上手で、趣味部屋のイメージも自分でイラストを描いて建築家にリクエストしたそう。
ガレージを広く確保した分だけ、住居部分の面積が限られてしまったので、6人家族が住んでも窮屈に感じないよう、短い階段で縦につながるスキップフロアを採用した。子どもたちの個室はあえてつくらず、成長に応じてフレキシブルに使えるような進化する間取りが特徴だ。「子ども部屋を作りこんでしまうと、いずれ無駄になるでしょ。今は大家族でも、子どもが巣立った後の夫婦二人だけの時間の方が圧倒的に長いので、僕たちは将来の暮らしを見据えた、趣味を重視したプランをお願いしました」とご主人が語る。
4人の子育て真っ最中なのに、疲弊した様子は微塵もなく、それどころか自分たちの趣味を存分に楽しんでいる夫妻。そんなイキイキとした両親の姿を見て育つ子どもたちが明るくて、素直で、創造力豊かになるのは当然のことかもしれない。
スキップフロアは家族団らんの場所。1つの空間にいるつながりを感じつつ、ゲームをしたりお話したりと、それぞれ好きな時間を過ごす
建築家住宅ならではのエッジの効いた外観デザイン。敷地の高低差を活かし、地下をRC造のガレージ、住居部分を木造の混構造とした
自身がデザインした空間で、本や漫画を読むのが奥さま至福の時間
大好きな漫画の影響で、2年前からサイクリングをはじめた奥さま。愛車は「Bianchi」。ご主人のガレージでメンテナンスする時間も好き
劣化や故障などにより廃車となった車を修復して再生する“レストア”が趣味のご主人。1951年式のアメリカ製軍用車輌「ウィリスM38」は実に4年をかけて、一旦ばらし、組み立て、磨いて、塗装した
新しく家族に加わったしずくちゃん。仲良し4兄弟にかわいがられ、時に奪い合いになることも
趣味のバンドで知り合って結婚したTさん夫妻。12歳、11歳、8歳、6歳の4人の子どもを育てながらも、ご主人はレストア、奥さまは漫画やサイクリングなど、自分だけの時間も楽しんでいる。
(株)好文堂代表取締役。早大卒業後、リクルート、浜松百撰を経て2007年独立。住宅、スポーツ、企業紹介、学校案内、人物インタビューを得意とする。著書「失敗しない家づくりの法則」。静岡コピーライターズクラブ(SCC)会員。