静岡県西部
工務店・新築・一戸建て・注文住宅・リノベ会社を検索できるくふうイエタテ
花壇に咲く季節の花に誘われながらアプローチを進み、空色のドアをそっと開ける。こぢんまりとして居心地のいい店内には、コーヒーや食品、リサイクルコットンの靴下など、エシカルな雑貨が並ぶ。街道沿いにある「晴天」は、浜松で一番小さなフェアトレードのお店だ。
ずっと自分の店を持つのが夢だったという奥さまは、新築の家に店舗を併設。もちろんご主人も奥さまの夢に大賛成だった。「親が働いている姿を子どもたちに見せることも大切だと思うから、こうして店を開けて良かったと思いますよ」とご主人。建物には店舗用と住居用に玄関が2つあり、店舗と住居は室内で繋がっている。だから、奥さまは店番をしながら子どものお世話をしたり、家事をこなしたりできる。
新築計画の際には、「気取らずに、いつも自然体でいられる住まいがいい」と希望した夫妻。店舗も住居も、壁の仕上げに構造用合板を使用しているため、「壁にフックや釘をガンガン打ち付けて、どこでも何でも自由に付けたり、飾ったりできます」とご主人。店舗のディスプレイ棚やフックはもちろん、リビングやトイレにもご主人がDIYでオープンラックを設けてある。子ども部屋の壁を彩るのは、子どもたちの絵や工作。学習机の周りには、学校のお便りやスケジュール表をピンで留めたり、取り換えたり。家中の壁が工作ボードのようで、なんだか楽しい。
延床30坪弱の建物内に店舗スペースを確保するため、浴室や洗面は2階に配置。洗面スペースからクローゼットを通ってベランダに洗濯物を干せるようになっているので、洗濯が効率よくできる。「家事をするのも、みんなでくつろぐのも、狭すぎず広すぎず、ちょうどいい空間。だから毎日おおらかな気分で暮らせます」と奥さま。
晴れた日の休日には、テーブルをウッドデッキに運んでブランチを楽しむのが家族の日課。「庭番長」のご主人が植えたオリーブやサクランボの樹を眺めながら日向ぼっこをしていると、キッチンからフェアトレード・コーヒーの芳醇な香りが漂ってくる。ちょうどいい家に自然体で暮らす家族の心は、いつも「晴天」だ。
スギの床の柔らかな感触と構造用合板の飾り気のない雰囲気が心地よいLDK。大きな窓を介して緩やかにウッドデッキとつながっているので、いつでもすぐに「デッキでご飯」ができるところも夫婦のお気に入り。造作の木のアイランドキッチンは、既製品を入れるか迷った末に取り入れたこだわりのもの。コストダウンのためにあえて収納扉を付けず、布で隠すというアイデアも秀逸。「暮らしを育てる」ことを楽しむ夫妻にぴったりの空間となっている
フェアトレード雑貨店「晴天」へのアプローチ。枕木のわきを四季の草花が彩る
会計カウンターの奥は住居への出入り口があり、子どもたちがママの様子をのぞきにくる
見学会で一目惚れした赤色の木製サッシが窓辺を彩る
2階のフリースペースは仕切らず、オープンな子ども部屋として活用
神棚や掃除機はご主人が壁付けをした
子ども部屋にはかわいい作品がずらり。何でも自由に飾れる壁は思い出のギャラリーになる
夫妻と仲良し姉妹が暮らすM邸。奥さまの夢だった雑貨店を開く前提で、土地探しと家づくりを計画。新居に引っ越してから1年の準備期間を経て、昨年の4月に「晴天」をオープンした。
フリーライター