静岡県西部
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普段家事をしている奥さまよりちょっとはやめに起きて、掃除をはじめるのが、ご主人の休日のルーティーン。豆を挽いて、ていねいに淹れたコーヒーが香る頃、静かにピアノの音が流れはじめ、T邸の朝は本格的にスタートする。遠く、デッキの先に見えるのは、のどかな山々の緑に、小川の向こうの畑で作業をしている農家さんの姿。お隣の庭からは、飼っているヤギの鳴き声が届く。「以前はよくキャンプに出かけていた」という、おふたり。「そろそろと思うんだけど、こうやって過ごしているうち、なんだか満足しちゃうんですよねぇ」。そういいながらカップを傾けるおふたりの表情から、穏やかで豊かな暮らしぶりが伝わってくる。
そんな日々において、暮らしの中心になっているのは、愛猫・アルくんとモネちゃんの存在だ。「私たちが座るのはここで、アルとモネはそのあたり。もはや4人で暮らしている感覚ですね」と奥さまがいう通り、夕食の支度をしているキッチンにも、雑誌を広げているソファにも、当たり前のように“ふたり”の気配が運ばれる。こわがり屋のアルくんは、なかなか姿を見せてくれなかったけれど、マイペースなモネちゃんが、「こういう場面を撮りたいんでしょ」といわんばかりに、カメラマンの前を行ったり来たりしてくれた。キャットタワー、2階窓際の日なたぼっこスペース、トイレのある洗面脱衣室への専用出入り口。キズのつきにくさから選ばれた床のオークを含め、洗練された空間におふたりの思いが溶け込んでいる。そもそも県外出身で、近隣の住宅会社の知識がまったくなかったT夫妻が、依頼先選びでもっとも重視したのは、住まいの性能。仕事ででかけている間、夏も冬も、エアコン1台で快適に過ごせる環境が叶えられた。
T邸にはテレビがない。ニュースはネットでチェックし、室内にはやさしい音楽。夕方、近所を散歩すれば、ご近所さんから野菜のおすそ分け。スープがコトコトしはじめたら、休日の日課もそろそろ終わりだ。流行も派手さもいらない。自分たちらしく、心地よく、好きな時間を重ねていきたい。おふたりのような暮らしを選ぶ夫婦が、これから増えていくことだろう。
キッチンのカウンター、棚、収納などは奥さまが描いた図面をもとに造作された。天板のフチに回された黒いアイアンがアクセント
床は風合いと硬さのバランスからオークを選択。壁の漆喰が心地よさをもたらしつつ、光をやわらかく広げていく
到着するやいなや、「まずは一杯」とご主人がミルをぐるぐる。豆は静波海岸の自家焙煎珈琲屋さんで購入。すっきりした味わいのものが好みだそう
アイアンの階段と手すりが大らかな空間を引き締める。断熱性・気密性が高いので、エアコン1台で冷暖房をまかなえ、光熱費も抑えられる
和室はご主人の仕事場になったり、客間になったり。明るくモダンなテイストなので、LDKとの一体感も生まれる
洗面台はタイル張り、造作仕上げ。洗面スペースの隣には、干したまま出掛けられるランドリールームを用意した
求めたのは心地よさが、ずっと続くこと。「目に見えない部分を大切にしました」とご主人
島根出身のご主人と新潟出身の奥さまが、仕事の関係で静岡へ。保護施設から引き取ったアル、モネとともに賃貸に暮らしていたが、もっと快適になればと新居を検討。現在は地域の班長を務めている。
吉田町出身。静岡大学工学部卒業後、医療用具メーカーにて製造マシンの設計・製作に従事。ある事故をきっかけに、“うれしさの近くにある仕事”をと考え、2002年にデイクリップをスタート。