石灯籠を配した数寄屋門をくぐると、威風堂々たる和風住宅が姿を見せた。行灯のようなふんわりとした照明がこぼれる玄関からLDKに通されると、真壁づくりのリビングの中央に囲炉裏が施され、夫婦水入らずでほっこり過ごせるようになっている。吹抜けの天井にはヨシズを張り、塗り壁は櫛引きの珪藻土、窓のガラスに本物のツタをあしらうなど、『瀧口建設』オリジナルの演出が和の空間を引き立てている。高級料亭を思わせる広縁から二間続きの和室に入ると、大きな窓越しにポストカードのような庭の風景が広がる。古き良き日本建築の伝統を活かし、手が届くほど軒を低く降ろすことで、日射量を自然調節できる。「本家にふさわしい家ができて、私たちも子どもや孫たちに自慢できます」とご主人。使い込むほど風合いと輝きを増していくヒノキの家は、仲睦まじいご夫妻とともに記憶を刻んでいく。