子育てがしやすいご主人の故郷静岡に、東京からIターンしたSさん。中国茶を主に輸入する事業を営み来客も多いため、事務所を兼ねる自宅は仕事とプライベートを区切りながら、趣味の「お茶とワインが楽しめる家」をコンセプトに家づくりをした。間口はわずか5歩、奥に細長く延びる土地を最大限活かしたのは、Sさんが希望した重量鉄骨だ。強靱な構造が壁や廊下のない広い空間を可能にし、京町家のように家具で緩やかに空間を仕切る日本の機能的な暮らしができる居住空間が、希望通りに叶えられた。家族が集うLDKは、丁寧に淹れたお茶や芳醇な香りのワインを味わうのにふさわしい、落ち着きあるインテリアに。オープンな空間でありながら雑多にならないのは、収納するものや使う場所を細かく確認して設計した造作収納のおかげ。家族とともに育っていく家は、自然素材の経年変化も楽しみだ。